北海道産有機ライ麦を使うことで農家さんを応援しているお店をご紹介②【アトリエ・デコパン】(横浜市・都筑区)


0

北海道産の有機ライ麦を使ってお店がパンを焼き、そのパンを私たち消費者が購入して食べることで「環境再生型農業」「環境保全型農業」の普及にも役立つというお話。

パンめぐリストの岩田がシリーズでお伝えする取り組みで、第一弾で「チクテベーカリー」の北村千里シェフにお聞きした内容が先日公開となりました。

第二弾は、横浜市・都筑区にある「アトリエ・デコパン」の中川禎史シェフにお話を聞いてきました。

どんな商品に北海道産有機ライ麦を使っている?

現在は試作段階で、店頭に北海道産の有機食用ライ麦”ハンコック”を使ったパンはなく、秋からの商品としてライ麦種の食パンを作りました。

他のライ麦応援シェフの皆さんがハード系が得意と思ったのと、当店のお客様のニーズが食パン、食事パンなどソフト系のため、食パン型にしようと思いました。
ライ麦で初種を作り、2番種と増やす。小麦全粒粉で作った天然酵母でライ麦を乳化させて一晩寝かせる。
それを元種(20%)に春よ恋100%を合わせて生地にします。

いわゆるヴァイツェンミッシュブロートで、ライ麦は種でしか使っていないため割合が低く食べやすいと思います。
ライ麦に親しむとっかかりになればいいなと考えました。

今まで使っていたライ麦とハンコックの違いは?

今まで使っていた国産ライ麦は少し飼料っぽい感じがして敬遠されるかなと思っていましたが、ハンコックは袋を開けたときの香りがマイルドで、ライ麦に親しみがない人にも受け入れやすいと感じました。

ハンコックを使うようになったきっかけは?

5年前、北海道十勝地区にある「アグリシステム株式会社」の小麦ヌーヴォー畑見学ツアーに参加して、食の安全への意識が変わりました。
昨年も参加した際に、環境に負荷をかけない農業を目指しオーガニックにも取り組み始め、土づくりに力を入れる農家さんたちの話を聞き、
「今まで以上に安全なものを使いたい、パン屋が使うことで農家さんの生産の安定にも繋がるのだ」と強く思うようになりました。

ハンコックを使ったパンを実食


◆ライ麦種の食パン
手に持つとずしっと重みがある。クープのエッジがかっこよく、ハード系の良さも兼ね備えた見た目。
クラストは発酵した中国茶のような香ばしい香りで、食べてもすっきりとキレのいい香ばしさがあります。
クラムはしっとりふんわり、もっちり感もあり。この食感食べやすくていいですね。
乳酸菌独特の軽い酸味があります。

トーストするとクラストがカリカリ。穀物の香ばしさが際立つ!
クラムはカリッむちっ。

3日目のパン(日を追うごとに熟成されます)を食べてみましたが、酸味は前より気にならず、クラムもまだしっとりむちっとして美味しいです。

中川シェフおすすめの食べ方は、薄くスライスしてトースト。クリームチーズやバターを塗ると美味しいそうですよ。

他にライ麦を使ったパンは?


現在、他にライ麦を使っているパンは、こちらのフルーツ100。
酵母のかすかな酸味、クランベリーと丁寧に下処理されたくるみがたっぷり!
くるみのコクとクランベリーの甘みがちょうどよく、無塩バターを塗って食べたら最高でした。

これからのお店の展望は?

店をオープンして7年、食パンが人気でがんばって作らないと追いつかないほどだったので、ライ麦のパンを作るまでには至りませんでした。
しかし、昨年から全粒粉のパンを作って出したらすごく反響があり、週1回から2回に販売を増やしました。
地域のお客様は健康意識が高く、雑穀や全粒粉入りのパンを望む声も多いのでハンコックを使ったパンも受け入れられると思います。

全粒粉のパンを食べたお客様からは、体の循環(お通じや血流)がよくなったという声もいただきました。
『地域に根差し、生活の中に溶け込む店』を目指し、単に美味しいだけでなく食べて健康になるパンであることも、買いに来てくださるお客様のためにますます考えていかなければと思っています。

アトリエ・デコパンの中川禎史シェフ

食べてくださるお客様の健康のことはもちろん、材料である小麦やライ麦など畑で作られる作物、またその作物を作る土壌改良を環境に負荷をかけないよう取り組んでいる農家さんのことを考えて「もっとライ麦を使っていきたいです」と、優しい笑顔の下に熱い想いを秘めている中川シェフのお話は、わかりやすく心にスッと入ってきました。

9月25日にパンめぐで公開された記事では、お店の人気商品をライ麦を使った商品にこだわらずご紹介しているのでそちらもチェックしてみてくださいね。

安全で美味しいをモットーに、一口目から「おっ!」と思わせるパンを作る【アトリエ・デコパン】(神奈川県・横浜市)

SHOP INFORMATION
【店名】アトリエ・デコパン
【住所】神奈川県横浜市都筑区荏田南3-2-13
【電話番号】
045-482-9150

【営業時間】平日・祝:9:00~17:00 土日:7:00~15:00
【定休日】 火・水

※写真の商品の種類、価格は、2023年9月現在の情報となります。
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗もしくはSNSなどでご確認ください。


この記事に関連するキーワード

パン屋さんのご紹介

おすすめパン

ライ麦種食パン
クランベリーとくるみの酵母パン

一覧へ

この記事を書いた人

岩田聡子

岩田聡子 さん

パン屋さんめぐりは人と人を繋ぐ。転勤族&専業主婦の私でも気づけばパンを通じて友達の輪が!!旅行好きな主人と地方のパン屋もめぐってます。