魅惑の口溶けに頬が緩む【pain culture(パンカルチャー)】(愛媛県・今治市)


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「リジェネラティブ・ベーカリー」シリーズ

北海道産のライ麦を使ってお店がパンを焼き、そのパンを私たち消費者が食べることが、世界的に注目されている「環境再生型農業」の普及につながるということから、ライ麦“ハンコック”を使っているお店をシリーズでご紹介しています。

第8弾は愛媛県今治市にある「pain culture(パンカルチャー)」大下慎介シェフにzoomで話をお聞きしました。
店内はアンティーク感漂う家具のぬくもりとパンのぬくもりが調和した素敵な空間。

2018年11月、今治市玉川町にオープン。
実家が同じ今治市内でパン屋をやっていることもあり、高校を卒業したらそのままパンの道へ。
以来、パン職人一筋で理想のパン作りを追及されています。

北海道産ライ麦“ハンコック”を使うようになったきっかけは?

2023年2月に出版された雑誌「cafe-sweets(カフェスイーツ)」216号にハンコックが特集されているのを見て、製パンに適した品種だと知り使ってみることにしました。
以前に北海道のアグリシステムさんを訪問し小麦畑を見て「ここの小麦を使いたい!」と思い、ゆめちから100%もアグリシステムさんのものを使っています。

今までに使ったライ麦との違いは?

国産ライ麦をいくつか使っていましたが、比べると尖ったクセがないので食パンやお菓子系などハード系以外にも使えそうだなと感じました。
アグリシステムさんの製粉技術も良いのでライ麦の配合量を増やしても生地がまとまりやすく、通常のライ麦はダレやすいイメージでしたがそれがないのです。

どんな商品に北海道産ライ麦を使っている?

イタリアの伝統的な発酵菓子であるパネトーネに使用しています。
クリスマスシーズンによく見かける商品ですが当店では通年製造していて、今回のライ麦パネトーネはライ麦20%、ゆめちから80%で作っています。
手に取りやすいサイズで店頭に並べる予定なので、定番のライ麦商品としてお客様に口にしてもらえたらと思います。
カンパーニュにも25%ほど使用しています。

なぜライ麦応援に参加しようと思われたのか?

ハンコックという美味しいライ麦に出会い、それを使ったパンがお客様の手に亘る、という自然な流れで参加&応援に繋がっています。
腸内環境を整えてくれるライ麦を毎日食べてもらえる食パンなどにも使用することで、お客様の健康の一助になれば嬉しいです。

ハンコックを使ったパネトーネを実食!


リジェネラティブ・ベーカリーシリーズでライ麦を使った商品をこれまで7軒分食べてきましたが、パネトーネが出て来るとは思いもよりませんでした!

◆ライ麦パネトーネ
袋を開けるとカヌレのような甘い香り。
香ばしい香りはハンコックによるものでしょうか。
カットすると卵の香りが広がり、しっとりふんわりとした優しい食感。
パネトーネ種の乳酸菌によるヨーグルトのような軽い酸味が後を引く美味しさです。

トースターで焼くと表面がサクサクと軽やかな食感になり、味も少し凝縮するように感じるので、焼いたことがない方は是非お試しを。
そこにジャムやアイスクリームを添えて食べるのも美味しいですよ。

ライ麦に限らずお店で人気のパンをご紹介

圧倒的に食パンが人気だそう。食パンの種類も豊富。

◆玄米食パン
クラストの焼きの香ばしい香り、クラムはほわほわとしてエアリー。
口溶けがいい!歯切れもいい!甘みも優しくていい!

トーストするとカリカリほわっ、お餅のようにぷるんもちんとまとまったかと思ったらするりと解けていきます。
「春よ恋」の甘み、やわらかく炊いた玄米はプチプチ感を感じさせず一晩オートリーズすることでこのもちっとしたまとまりを出しているそう。
クセになる美味しさです。

◆パンドミ
しっかり焼いた香ばしい香りを楽しみながら噛むとすぐに甘みが押し寄せてくる。
クラムからは爽やかな小麦の香りも感じます。
口の中で甘みがぎゅぎゅっと集合!そこからすーっと消えていく感じが好ましい。

トーストするとサクサクと小気味いい音。クラムはねっとり感が増し、じわじわと甘みが押し寄せてきます。
そのままとトーストと食感が変わってくるので、好みの食べ方で楽しんでくださいね。

これからどのようなお店にしていきたい?

実家のパン屋もそうでしたが、自分が子供の頃のパン屋は駄菓子屋感覚でふらっと来られるお店でした。
コロナ禍を含め、地域の人に支えられていると感じていて、その人たちに気軽に来てもらえる何気ない日常の一部になれればと思います。

店名の「パンカルチャー」は、パンの文化がこの玉川町という地域で広がればいいなあという想いと、カルチャーの語源に「耕す」という意味があり、お店がこの土地で根付いていけたらという想いで名づけました。

現在は兵庫県宝塚市にある「パンの小屋」で10年経験を積み、その後、実家のパン屋を手伝っていた時期があります。
実家のお店がメニュー数を抑えて小さな規模での営業になったので、僕の店にも来てくれるようになったお客様もいらっしゃいます。そういう繋がりも嬉しいですね。

単純に美味しいからという理由で国産小麦100%でパンを作っていますが、今までは単一品種で粉の味が素直に出るようなパン作りをしてきましたが、もう少し発酵種を組み合わせて奥深い味わいも出していきたいです。

パン屋を始めるにあたり、北海道や九州の小麦の産地に足を運んで実際に目にしたものを使う安心感が国産小麦にはあります。お客様にも自信を持って素材の良さをお伝えできるので今後も使っていこうと思います。

大下シェフ(写真中央)

ライ麦をパネトーネに使うという柔軟な発想をお持ちの大下シェフ。
お話をしてくださる間も終始笑顔で、人と人との距離を縮めてくださる方だなあと感じました。
旅行先を「訪れたいパン屋さんがあるから」と決めるのもいいですよね。

※リジェネラティブ・ベーカリーについては以下をご参照ください。
https://www.agrisystem.co.jp/regenerativerye2023.html

SHOP INFORMATION
【店名】pain culture(パンカルチャー)
【住所】愛媛県今治市玉川町大野甲133-6
【電話番号】0898-52-8556
【営業時間】 08:30 ~ 11:00 、12:00 ~ 15:00 *売り切れ次第閉店

【定休日】月・火  *不定休あり

 


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パン屋さんのご紹介

pain culture(パンカルチャー)
愛媛県今治市玉川町大野甲133-6
電話番
0898-52-8556
営業日
【営業時間】 08:30 ~ 11:00   12:00 ~ 15:00 *売り切れ次第閉店

【定休日】月・火 不定休あり
 
Instagram
https://www.instagram.com/painculture/?hl=ja

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この記事を書いた人

岩田聡子

岩田聡子 さん

パン屋さんめぐりは人と人を繋ぐ。転勤族&専業主婦の私でも気づけばパンを通じて友達の輪が!!旅行好きな主人と地方のパン屋もめぐってます。