独創的なアイデアのパンを生み出す、マニアを唸らせるシェフがいる【O to U(オートウー)】(神奈川県・横浜市)
横浜・元町に2019年11月にオープンした「O to U(オートウー)」さん。
店名の読み方がわからず「オートゥーウー?オトウ?」と戸惑ったのが第一印象でした(笑)。
横浜高速鉄道・みなとみらい線「元町・中華街」駅5番出口を出て左側へ進み元町通りへ。
通りを歩いてすぐの元町プラザの角を左折。食パン発祥と言われる老舗の「ウチキパン」さんが見えますね。
「ウチキパン」を右手に見ながらまっすぐ進み、この建物(1階に「Peace Flower Market & Cafe」)の横の細い道をまっすぐ進むと「O to U」さんの看板が見えてきます。
駅出口からは3分程度。
この日は平日の午前中でタイミングよく並んでいませんでしたが、買って帰るときには6人ほど並んでいました。
2年前にNHKの番組『パン旅。』で女優の木南晴夏さんが訪れた後はものすごい行列で、地元の方もひるんで帰ってしまうほどだったそう。
ドアを開けるとこの光景!眼福です!!
商品が一番揃うのが10時から10時半頃なので、それに合わせて来るとこの光景が拝めます♪
とても人気のあるお店のため午後に訪れると品薄で、この日は16時には完売していました。
こちらのトレイとトングを使って自分でパンを取る方式。
食パン型のトレイが可愛くて手に取ろうと思うのですが、食べたいものが多すぎて載せきれないため、毎回丸いほうを使うことに(苦笑)。
商品棚の左側にハード系のパン。ピンク色の“いちごとピスタチオ”が気になりつつ一通りチェック。
右手はデニッシュ系や甘い系のパン。
赤・黄・紫の鉢巻きをしたあんこ3兄弟(勝手に名付けました♪)が目を引きますよね。
奥の棚に並ぶ“バゲット”“ショクパン”“カンパーニュ”は店員さんに頼むと取ってくれます。
濃い焼き色が美味しそう~。
この日はこんな感じで食べたい欲を抑えました!
独創的なパンを生み出すシェフはこんな人
わくわく心躍るパンを作られるのは、オーナーシェフの薄井雅治さん。
◎パン屋になろうと思われたきっかけは?
もともと食べることが大好きで、食べ物屋をやりたくなったんです。
パンの講習会に参加する機会があって作ってみたら、発酵の仕方などで人によってできあがりにかなり違いがあって、それはなんでだろう?と追及するうちにパン作りの楽しさにハマってしまいました。
◎パンを作るうえでのこだわりやパンの特徴は?
美味しいパンを提供するのは当たり前のことなので、見た目から惹かれるものがあったり、元町というパン屋激戦区で他店とは違うものを作っていきたいです。
流行りにのったものは作りたくないですね。
できる限り自家製でやっていきたいので、ソーセージドッグのソーセージやクロックムッシュのベーコンも手作りしています。
あんぱんの粒あんもお店で炊いています。
カレーパンのフィリングもスパイスの配合など納得いくものができるまで時間がかかり、商品化したのはつい最近です。
大変すぎてやめたくなるときもありますが、喜んでくださるお客様の顔を思い浮かべると頑張ろう!と思えるのです。
クロワッサン以外のパンは湯種を入れてもちもち食感にしています。僕がご飯党なもので(笑)。
現在使用している小麦はほぼ熊本県産や北海道産の国産です。
開店当初はフランス産の高級な小麦も使用していましたが、試しに国産で作ってみたらいい感じに仕上がったので。
店名「O to U」の由来は?
◎私が最初読めなかった「O to U(オートウー)」という店名。
どういう意味があるのでしょう?
O=表、U=裏。
表と裏、ですね。相反するものを組み合わせると面白いもの(美味しいもの)ができあがるんです。
和と洋、硬いと軟らかい、甘いとしょっぱい、等々。
たとえば、あんぱんの生地はブリオッシュというバターたっぷりの「洋」にして、豆感を際立たせた粒あんの「和」を合わせる。
食パンやバゲットは外側はしっかりと焼いて硬さを、反して内側はふんわりだったりもっちりだったり違いがわかるようにしています。
違いがわかる女になるべく、いざ実食!
前回買ったものも併せてオススメをいくつかご紹介。
◆あんぱん
断面から圧倒的な豆の香り!小豆の風味を感じるあんぱんはいくつもありますが、ここまで香るのは珍しい。
やや硬めに炊いて甘さも控えめながら黒糖が深みを与えています。
お客様によってはもっと甘くしてほしいとの声もあるそうですが、シェフの“小豆を感じてほしい”という想いからやはりこの甘さは譲れないそう。
バターと卵がたっぷり使われているブリオッシュ生地が旨い!!二度目だけれどやっぱり好きだなあ、これ。
ふにゅふしゅとやわらかい食感。ブリオッシュにかさついたイメージがあって苦手な人もこれは気に入ると思います。
◆自家製ソーセージドッグ
自宅でリベイクすると、クラストがパリッ、クラムはもっちり高加水。小麦の香りが一口目から感じられ、噛むごとに甘みも増してバゲット単体でも美味しい!
食欲そそる香辛料を効かせた粗挽き肉の自家製ソーセージはボリューミーなので、ランチにこれ一つでも満足できそうです。
表面に散らした紫蘇が爽やかなアクセントになっています。
◆カレーぱん(辛口)
もっちりとした甘みのない生地にハーブとパン粉をまぶして焼いてあります。
断面からわかるように粗挽き肉を使ったフィリングがたっぷり詰まって、クミンやカルダモンなど様々なスパイスの波が押し寄せてきます。
写真見てるだけで食欲そそられる~。
チリの辛さは控えめなので中辛程度が食べられる方なら美味しく頂けます。
◆クリとナッツクリーム
栗好きさん、これ食べてみて!!
クロワッサン生地はしっとりで、真ん中に栗がごろり。
お酒の風味あるマロングラッセとナッツクリームが表面を覆うようにたっぷりと。
バター感じる生地とマロンの組合せは小ぶりなサイズだけれどとても満足度が高くてリピート決定!
◆マッチャとカシス
渋いイメージの抹茶と酸味のあるカシスを組み合わせる?まったく想像がつかないのでこれは食べなきゃ!
パリパリサクサクとした音も楽しいしっかり焼きこんだパイ生地からはふくよかなバターの香り。
白餡に抹茶を混ぜてあり、色は濃い目ですがほどよい甘さと渋くない濃さなので、お子さんでも食べられそう。
カシスの甘酸っぱい香りが鼻から抜け、抹茶の香りも負けずに長く余韻を残す。
薄井シェフ、すごいです!
凡人には思いつかない組合せの発想は、ケーキ屋さんなど昔から好きだった食べ歩きをすることで生まれるそうですよ。
◆クリとレモン
マロンクリームは甘さ控えめでラム酒が控えめに香ります。
レモンはレモンカードなのでしょうか、卵感と爽やかな酸味あり。
この酸味がアクセントになっていて、さつまいものレモン煮という料理があるからその組合せのアレンジかな?と予想。
シェフに確認したところ、「気温が上がる夏でもクリを楽しむには、秋のイメージのクリに対して夏のイメージのレモンを組み合わせたら面白いかなと思いまして。あんこと酸味の組み合わせで他の2種類も作っているので。」と。
異なる季節を組み合わせるなんて予想もできませんでした!薄井シェフはやはりすごい感性をお持ちだなと確信!!
安易な私の予想がお恥ずかしい~(汗)。◆ショクパン
1斤の塊の外側、特に底面からの香ばしい香りに期待値が上がり、早く食べたい!
写真では写しとれなかったのですが、ひやっと感じるほどの水分をたたえたクラムはほわっむちっとした食感。
甘い!何もつけていないのにコーンのような自然な甘さが美味しくて後を引く。
お米の甘みにも似て、気づくと1枚ペロリでした。
クラストとクラムの食感、味の違いを楽しめて、もしかするとこれが一番“O to U”を感じられるのでは?と思える美味しさでした。
『パン旅。』に出演したあとが一番反響があり、特にパンマニアと呼ばれる方の熱量を感じたとおっしゃる薄井シェフ。
お店のこだわりをわかってもらえて嬉しかったとおっしゃっていただけて、オタクの私も嬉しくなりました。
もっとマニアックなパンも作りたいと考えているけれど売れないこともあるので攻め切れないんですよね、とも。
マニアックなパン好きの皆様、珍しいパンをお店で見つけたら率先して買って、泉のごとく湧き出るシェフの発想をどんどん世に出してもらいましょう!!
SHOP INFORMATION
【店名】オー ト ウー(O to U)
【住所】神奈川県横浜市中区元町1-54 リブレ元町 2F
【電話番号】なし
【営業時間】9:00~17:00(無くなり次第終了)
【定休日】月、火曜日
※写真の商品の価格は、2023年の2月現在の価格となります。
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗またはHPにてご確認ください。
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パン屋さんのご紹介
- 店名
- O to U
- 住所
- 神奈川県横浜市中区元町1-54 リブレ元町 2F
- 電話番号
- なし
- 営業日時
- 【営業時間】9:00~17:00(無くなり次第終了)
【定休日】月、火曜日(祝日の場合は営業)
- https://www.instagram.com/o_to_u/
この記事を書いた人
岩田聡子 さん
パン屋さんめぐりは人と人を繋ぐ。転勤族&専業主婦の私でも気づけばパンを通じて友達の輪が!!旅行好きな主人と地方のパン屋もめぐってます。
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