十勝の麦と薪窯で生命力みなぎるパンを焼く【風土火水】(北海道・帯広市)


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「リジェネラティブ・ベーカリー」シリーズvol.26

『環境再生型農業』を応援するパン作りをしているベーカリーを紹介するシリーズ。


十勝・帯広の地に根を下ろすパン屋「風土火水」さん。

有機栽培・自然栽培・バイオダイナミック農法に取り組む十勝の生産者達が育てたオーガニック小麦を全粒粉で余すところなく使用し、木桶による手ごね、自家培養酵母を用いて薪窯で大きく焼き上げるパンが特徴です。
店内には美しい焼き色のどっしりとしたパン、薪窯ならではの余熱を使った焼き菓子などが並びます。

10周年の節目に、梅澤和矢シェフが店主に就任

2025年に10周年を迎え、それを機に同年4月から店主としてパンを焼くのが梅澤和矢シェフです。

梅澤シェフは2015年から9年間、千葉県流山市で「央製パン堂」という地元の方はもとよりパン好きの間でも有名な人気パン店を営まれていました。
常連のお客様もつき順風満帆な日々でしたが、「薪窯でパンを焼きたい、土地に根差したパンを焼きたい」という想いが沸き上がり、大阪、群馬、宮城と各地を3年ほど探したけれど条件に合う物件に出会えずにいました。
そんな折に耳にしたのが、「風土火水で店長を探している」という話。十勝産小麦と薪窯。これ以上ない環境だと感じ、迷いなく移住を決められました。

実際に薪窯で焼き始めて、最も大きな違いとして梅澤シェフが感じたのは「パンのエネルギー」。
オーブンとは火の入り方がまったく異なり短時間で中心までしっかり熱が届くので、外側は歯切れ良く、内側はしっとりとした食感に。使う材料も央製パン堂の時とは違うのでより奥深い味わいとなっているのだそう。
また、十勝という土地やそこで育った作物の持つ見えない力のようなものが焼きあがったパン達から発せられているのだろうと、実際にパンを食べて感じました。

原材料への意識も、ここ数年で大きく変わったそうで、以前は「美味しいパンが作れればいい」と国産・外国産に強いこだわりはなかったけれど、コロナ禍や国際情勢をきっかけに「外国に依存すること」への疑問が芽生えてきました。
さらに決定的だったのは、梅澤シェフ自身の体に起きた変化です。
かつては小麦を扱うとくしゃみや痒みが出ていたのが、十勝産小麦に触れるようになってそれ等の症状がまったくでなくなったのです。
小麦アレルギーではなく、農薬への反応だったと身をもって知った瞬間でした。

木桶での捏ね、ホイロを使わない発酵、薪窯焼成。すべてが初めての経験でしたが、長年の経験と薪窯の研修により、パン作り自体は意外なほど順調で、パンの出来も調整を続けながら確実によくなっているそうです。

いざ実食!

◆ロブロ
北海道産有機ライ麦、そのライ麦から起こした発酵種、塩、水だけを使って焼き上げるシンプルなパン。デンマークの伝統的なパンです。

ほうじ茶のような香ばしい香りとライ麦特有の甘み、味噌に似た発酵の風味が重なり合い、噛むほどに滋味が溢れます。
ロブロには欠かせないプチプチとした砕きライ麦の食感の楽しさ、また、しっかり噛むことでストレス解消や脳の安定も図れます。

ライ麦は小麦に比べて約4倍の食物繊維を含み、ミネラルも豊富なので栄養食としての一面も期待できます。
環境再生型農業(リジェネラティブアグリカルチャー)には欠かせない土壌改良に有効なライ麦を多く消費できるロブロは、健康やこれからの日本の未来を真剣に考える人たちに受け入れられています。

梅澤シェフは、シンプルにバターとアプリコットジャムのような酸味のあるジャムと合わせるのが手軽でいいですね、と。
クリームチーズとサーモンなどでスモーブロ(オープンサンド)にするのもオススメ。


◆十勝(カンパーニュ)
原材料は北海道産有機小麦粉、自家培養酵母、食塩、水、とこちらもシンプルなパン。
黒から赤茶色へと移り変わるクープの色はまるで溶岩の噴火口のように熱量を感じさせます。
焦げの深い香ばしさと小麦の育った景色を彷彿とさせる土や草の香り。
歯切れのいいクラストに反してクラムはしっとりふんわりと優しい。余韻にフレッシュで爽やかなキュッとした酸味も。
◆雑穀
びっしりのシードと雑穀をまとい、思わず鳥がついばみに来そうな佇まい。
袋を開けた瞬間、穀物の香ばしさがふわりと広がり、噛むほどにコクと甘みを感じます。
トーストすると香ばしさが爆上がりするのでおススメです。
お野菜モリモリ挟んだサンドイッチにしてもコクがあるパンなので満足感が高い仕上がりになりますよ。
◆柚子と伊予柑
断面から立ちのぼる鮮烈な柑橘の香り。マーマレードのような甘みが全体を包み、何もつけなくても美味しいい。
こちらも歯切れのいいクラスト、クラムもさっくりと軽い嚙み心地なので、ハード系のパンは苦手だなと思われる方も手に取りやすいと思います。

これから梅澤シェフが目指す方向は

風土火水で働く前は、小麦が育つ畑についてまで思いを馳せることは正直ありませんでした。
しかし、アグリシステムの粉を使うようになって、健康な土壌を作ることが未来の子どもたちが安心して暮らせる社会を作っていくことに繋がる、など学ぶことが多く、実際に畑にも足を運ぶようになりました。

理想とするのはシンプルな配合のパン。小麦の持つ力を最大限に引き出してあげたいと思いながら作っています。
農家さん達が丹精込めて作ってくれた小麦を美味しくするのはパン職人の腕次第ですから。

央製パン堂時代に比べて作るパンは10種類ほどに減った分、一つ一つの生地を丁寧に作ることができるようになりました。
数量的には食パンが出ますが、人気があると感じるのはライ麦を使ったロブロです。
アグリシステムでは石臼で丁寧に砕いた、ロブロに欠かせない国産有機砕きライ麦を扱っていて、これがロブロの肝だと思っているのでその美味しさを感じてくれているのだと思います。

一部のパンが好きな方を覗いては、風土火水というお店はまだまだ存在を知られていないので、地球環境に配慮したパン屋であることをもっと知っていただけるようSNS発信も力を入れていこうと思っています。

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央製パン堂時代、梅澤シェフはsaf製パンコンテストでバゲット部門賞を受賞されています。
私もフランス大使館で開かれたバゲットコンクールに出品されていた梅澤シェフのバゲットをいただいたことがありますが、香ばしい香りと噛むごとに感じる粉の甘み、軽い口どけが印象的な美味しさでした。

バゲットが得意な梅澤シェフが風土火水に入られたことで、お店でも水曜と土曜のみですがバゲットの販売を始めたそうです。
風土火水ファンの方はもちろん、初めてお店のことを知った方も、ぜひ足を運んでみてくださいね。

※リジェネラティブ・ベーカリーについては以下をご参照ください。
https://www.agrisystem.co.jp/company/values/regenerative/

※風土火水のパン通販はこちらから。
https://fudokasui.shop-pro.jp/

SHOP INFORMATION

【店名】オーガニックパン工房  風土火水
【住所】北海道帯広市西10条南1-10-3(ナチュラルココ本店隣)
【電話番号】0155-67-7677
【営業時間】10:00~15:30
【定休日】日・月・火
【Webメディア】 ・HP https://www.fudokasui.jp
・Instagram https://www.instagram.com/fudokasui/

※写真の商品の種類、価格は、2026年1月現在の情報となります。
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗もしくはSNSなどでご確認ください。

 


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パン屋さんのご紹介

オーガニックパン工房 風土火水
北海道帯広市西10条南1丁目10-3(ナチュラルココ本店隣)
電話番
0155-67-7677
営業日
【営業時間】10:00~15:30
【定休日】日・月・火


HP
https://www.fudokasui.jp/
Instagram
https://www.instagram.com/fudokasui/

おすすめパン

ロブロ
柚子と伊予柑

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この記事を書いた人

岩田聡子

岩田聡子 さん

パン屋さんめぐりは人と人を繋ぐ。転勤族&専業主婦の私でも気づけばパンを通じて友達の輪が!!旅行好きな主人と地方のパン屋もめぐってます。