粉への強いこだわりから旨みの濃いパンが生みだされる【ブレッド&タパス 沢村】(東京都・港区)
「リジェネラティブ・ベーカリー」シリーズvol.19
『環境再生型農業』を応援するパン作りをしているベーカリーを紹介するシリーズ。
2009年、軽井沢の地に誕生した「ベーカリー&レストラン 沢村」。
現在、軽井沢、東京、名古屋に10店舗を展開しています。
そこに並ぶすべてのパンの開発、製作統括をしている森田良太シェフにお話を聞いてきました。
「ブレッド&タパス 沢村」の店内の様子
私が訪れたこちらの店舗は、2011年6月にオープンした東京進出1号店。
東京メトロ日比谷線「広尾」駅4番出口から徒歩5分ほど。
1階はベーカリー&カフェになっていて、平日の11時頃でしたが賑わっていました。
2階はレストランになっていてモーニング、ランチ、ディナーと一日中楽しめます。
ベーカリーの奥側にハード系や食事パンが並んでいます。
カンパーニュやロデブが大きく焼かれていて目を引きます。
クリームパンやメロンパンなどの菓子パン系やデニッシュ類も並び、店内左手の冷蔵ケースには美味しそうなサンドイッチもありました。
アグリシステムの粉をつかうようになったきっかけは?
アグリシステム株式会社の伊藤英拓社長がまだ社長になられる前、よく東京に講演でいらしていたので話を聞く機会がありました。
それがご縁で問屋さんと一緒に北海道の圃場を訪れたり、「沢村」を運営している株式会社フォンスに僕が入社してからは製粉工場を見学させてもらったりしました。
粉自体は以前働いていたお店のときから使っていましたが、製粉工場を見学し、小麦の硬い外皮だけを取り除いて石臼挽きにすることで小麦の栄養や風味を多く残しているなど他とは違う方法を採用していることを知り、こだわりがあるところに惹かれました。

講師の伊藤社長と参加ベーカリーの皆様
先日、伊藤社長が東京にいらして【One Table勉強会「リジェネラティブベーカリー in 関東」】を開くことを知り参加してきました。
次世代に豊かな土壌を残すため、リジェネラティブ農業とは?それに取り組む生産者さんの話など聞くことができ、今後のリテールベーカリーの在り方など東京近県から参加したシェフの皆さんとも話しながら、
『この取り組みは素晴らしい。それに対し自分たちは何ができるのか考えた時に積極的にリジェネラティブ農業を推進している生産者さんの粉を使っていくことが僕たちパン屋にできることだ』という想いに至りました。
「沢村」ではアグリさんの「スムレラ」と「生産者限定本別町の石臼挽き地粉」を使っています。
他と違うと感じたのは、味が濃いところですね。
石臼で挽くことで、一般的なロール挽きのように高熱にならないため粉の風味が損なわれないのです。
パンを作ってみて感じるのは、扱いにくさはなく、イメージとしてはハード系が向いているな、と。
実際、お店でもバゲット、カンパーニュ、パン・オ・ルヴァンに使用しています。
いざ、実食!

上:パン・ド・カンパーニュ、下:バゲット
◆パン・ド・カンパーニュ
石臼挽きの特徴を生かした全粒粉「本別町地粉」を配合しています。
小麦畑を思わせる爽やかな香りのクラスト。
しっとりむっちり水分量多めのクラムは味に奥行きを与えるごくわずかな酸味を最後のほうに感じます。
5種類の小麦と3種類の天然酵母を使用されているので飽きのこない食べやすいカンパーニュです。
ハムやチーズ、スクランブルエッグなど好きなものをのせたオープンサンドにして朝からちょっといい気分になれそう。
※沢村各店で少しずつ味は異なるそう。
同じく「本別町地粉」を使っているパン・オ・ルヴァンはカンパーニュと同日に焼くことがないそうでこの日は買えませんでしたが、カンパーニュより酸味をもたせているそうです。
◆バゲット
袋を開けると味噌や醤油のような発酵のいい香りに加え、お煎餅にも似た香ばしさとほんのり甘みのある香りも。
食べても甘い!この甘みは長時間熟成発酵によって引き出されているのでしょうね。
クラストからは噛むごとに焼き込んだ香ばしさと旨みが押し寄せ、クラムはむちっとして甘みがあります。
こちらも5種類の小麦をブレンドして使っているのだそう。
以前食べた時も美味しいと思いましたが、久しぶりに食べてみてハマる美味しさです。
※軽井沢、東京、名古屋すべて同じレシピだそう。
ハード系以外で美味しかったパンもご紹介

左:ショコラ大納言、右:チョコチップとアーモンドのサクサクデニッシュ
◆ショコラ大納言
“沢村の製造スタッフ全員がオススメ!”というポップを見たら買わずにはいられません。
カリッとビターなチョコチップと、ほっくりしっとりほんのり甘い大納言小豆が、むぎぎと引きのある生地にたっぷり包まれていて、この食感と甘すぎない味に食べる手が止まらなかったです
スタッフのオススメには従うべき!と思いました(笑)。
◆チョコチップとアーモンドのサクサクデニッシュ
「沢村」で私が一番リピートしている商品です。
グローブみたいな見た目と、いかにも珈琲に合いそうなダークブラウンの色合い。
クロワッサン生地に自家製アーモンドクリームとチョコを巻いて焼き上げたもので、アイシング部分にシナモンの風味。
しっかり焼いて長くサクサク感を楽しめるようになっていて、翌日に少し残した分を食べてもまだサクサクと美味しい食感。
アーモンドスライスの香ばしさ、ビターなチョコチップにアーモンドクリームのコクと甘み、シナモンがアクセント。
ブラックコーヒーと合わせて食べるのが大好きです。
森田シェフが考案する粉の旨みを感じられるパンの数々。
美味しいだけでなく、日本の食文化の未来についても考えて行動を起こされています。
そんなことを頭に思い受かべながら「沢村」のパンを味わってもらえたらと思います。
※リジェネラティブ・ベーカリーについては以下をご参照ください。
https://www.agrisystem.co.jp/regenerativerye2023.
SHOP INFORMATION
【店名】ブレッド&タパス 沢村
【住所】東京都港区南麻布5-1-6 ラ・サッカイア南麻布1・2F
【電話番号】03-5421-8686
【営業時間】✳︎1F ベーカリー/7:00~21:00、 ✳︎2F レストラン/7:00~10:00(L.O.)、11:00~16:00(L.O.)、17:00~22:00(L.O.)※年末年始は変更があるため、HP等でご確認ください。
【定休日】なし ※年末年始は変更があるため、HP等でご確認ください。
※写真の商品の種類、価格は、2024年12月現在の情報となります。
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗もしくはSNSなどでご確認ください。
この記事に関連するキーワード
パン屋さんのご紹介
- 店名
- ブレッド&タパス 沢村
- 住所
- 東京都港区南麻布5-1-6 ラ・サッカイア南麻布1・2F
- 電話番号
- 03-5421-8686
- 営業日時
- 【営業時間】
✳︎1F ベーカリー/7:00~21:00
✳︎2F レストラン
7:00~10:00(L.O.)
11:00~16:00(L.O.)
17:00~22:00(L.O.)
※年末年始は変更があるため、HP等でご確認ください。
【定休日】
なし ※年末年始は変更があるため、HP等でご確認ください。
- ホームページ【沢村全体】
- https://b-sawamura.com/
- ホームページ【ブレッド&タパス 沢村 広尾店】
- https://b-sawamura.com/shop/120/
- Instagram【ベーカリー&レストラン沢村】
- https://www.instagram.com/sawamura_bakeryrestaurant/
おすすめパン
- パン・ド・カンパーニュ、バゲット
- ショコラ大納言、チョコチップとアーモンドのサクサクデニッシュ
この記事を書いた人

岩田聡子 さん
パン屋さんめぐりは人と人を繋ぐ。転勤族&専業主婦の私でも気づけばパンを通じて友達の輪が!!旅行好きな主人と地方のパン屋もめぐってます。
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