埼玉県産小麦ハナマンテンに魅せられた若松シェフが紡ぎだす「ブーランジェ リュネット」のパンの芳しさたるや!


忘れられない小麦の味にもう一度出会いたくて埼玉県川越市まで。
東上線「新河岸」駅西口を出てロータリーを越えてまっすぐ進むと「新河岸駅西口入口」という交差点の右手にスーパー「いなげや」があります。そのままさらに進み右にカーブする道を道なりに歩くと「ステーキあさくま」が見えてきて、更に進むと「ウエマツ薬局」があり、その角を右に曲がると目的の「ブーランジェ リュネット」に到着です。

こぢんまりとした横長の店内は、ハード系を中心としたパンや雑貨に囲まれた温かい雰囲気が漂います。

入って正面のガラスケースにはクロワッサン、クリームパンなど甘い系、総菜系、やわらかい食感のパンもあります。食パンもケースの上にありました。

右手には茶色い顔つきのパンがずらっと並び、ハード系パン好きにはたまらない光景です。

ドーンと大きな“はなまんてん100田舎パン”。ひび割れた生地からはパチパチとパンが焼ける音がしてきそうなほど見目麗しい。

店内左手の冷蔵ケースには、サンドイッチ用に焼いたフォカッチャを使ったサンドが数種類。合鴨のパストラミサンドやれんこんきんぴらとチーズのサンドなど迷ってしまいます。

若松大輔シェフが厨房でお話を聞かせてくださるとのことでお邪魔したところ、成形したての黒いクロワッサンに遭遇。あまりに綺麗で可愛らしくて写真撮らせていただきましたがなぜ黒いかは聞くの忘れました(汗)。

今回、私がどうしてもお店に来たかったのはこの埼玉県産ハナマンテンという小麦の味と香りが忘れられなかったからです。先日の横浜そごうで開催されたパンフェス内「ご当地小麦パン祭り」で出会ったハナマンテン100%バタールのお煎餅のような香ばしい香りと小麦の甘さは初めて出会うものでした。
若松シェフが使っているハナマンテンは、お店からもほど近い「原農場」さんで栽培されたものを幸手市「前田食品」さんで製粉されたもの。ハナマンテンは長野県で育種された超強力小麦で、長野県から10年前に埼玉でも栽培したい!と持ってきたそうで、前田食品での現在の製粉量は200トン。目標は400トンとのこと。それを全部パンに使っているわけではなく、実はグルテンの強さからラーメン屋さんから引き合いが多い人気の粉だそうです。ラーメンも好きな私ですがこの小麦はパンにもっと使われて欲しい!!この香りのすごさをもっと知ってほしい!!
シェフが袋に入った前日焼きのフランスパンを持ってきてくださり「この日は出来が特によく、袋を開けたときが一番香りがすごいんです!自分でもこの瞬間が好きなんです」とおっしゃったので私も袋の口に顔を近づけて鼻から息を吸い込むと、あの香ばしい香りがブワッと来て、一嗅ぎ二嗅ぎするとその香りの強さが増して押し寄せてくるのです。シェフも他のお客様もおっしゃるには「2日3日経っても香りが変わらず、冷凍しても風味が落ちないんです」と。確かに私も横浜で買ったバタールを冷凍したものをトースターで焼いて食べたときに「うわっ、これ冷凍しても香りが生きてるし美味しい!」と感激しました。ハナマンテン、恐るべし。

こちらがそのハナマンテンを100%使用したフランスパン。クープも焼き色も力強く美しいです。

ここからは実家の母と一緒に実食したパンをご紹介。お昼時だったのでランチ用に“ローストビーフサンド”。食パンと同じ生地をサンド用に焼いたフォカッチャは噛むとふんわりしていて具材を受け止められるややもちの食感。肉の旨みのしっかりした牛肉に、すりおろし玉ねぎの甘みのある自家製ソースがベストマッチ。隠し味のわさびマヨネーズがピリッと効いてます。これで350円は安い!

“カレーパン”。絵本に描かれたような優しい茶色い焼き色のまんまるな焼きカレーパン。軽くトースターで焼くと、外側がサクッと歯切れよく、表面にまぶした自家製パン粉がさらにサクサク感を増す。香りはうどん粉のよう。カレーはペースト状で滑らか。野菜の凝縮した旨みのあとからピリピリスパイシーな辛さが。母も絶賛です。

甘いパンも買いたいなと思いシェフにご相談したら、「コッペパンやリュスティックにお好きなものをサンドすることができますのでよかったらお試しください。お薦めはリュスティックに挟む“バターと2種のチョコ”です」と満面の笑顔で教えてくださったのでこれは間違いないなと注文(笑)。

出来上がったリュスティックサンドを見てステゴサウルスを連想したのは私だけではないはず!ヴァローナ社のビターチョコとミルクチョコが交互に挟んであります。ひきのある生地はクラストはカリッ、クラムはムニュ。口の中で溶ける生地の滑らかさ、無塩バターのクリーミーさ、チョコの甘さが一つに融合して最高に美味しいハーモニーを奏でる。これで180円だなんてシェフ、絶対赤字ですよ!!

店名と同じ“リュネット”。自家製サワー種生地にカレンツ、くるみ、アーモンド入りのライ麦パン。スライスした断面は写真撮り忘れましたがカレンツと生地の分量が1対1と思われるほどたっぷり使われています。ライ麦の香りにつられてかぶりつくとカレンツのジューシーさに驚く。私が食べたことのあるカレンツが使われているパンはもう少し硬くドライフルーツ感が強いのですがこちらは甘みが強く瑞々しい。ナッツの香ばしさや食感もいいアクセントになっていて、スライスした1枚ではやめられない美味しさ。

“はなまんてん100田舎パン”。直径30cmはあると思われる大きさに焼き上げたカンパーニュは、当年産で製粉日から2か月以内の採れたて挽きたての新小麦と全粒粉を使用。フランスパン同様、袋を開けたらブワー、ドーンと香ばしい香りが押し寄せる。クラストの上側はお煎餅のような香ばしさ、下側は土のような力強い香り。クラムは水分を感じるややむっちり。2日目より3日目のほうが酸味を感じ、焼かずに発酵無塩バターを塗って食べたら、ハナマンテンの香ばしい香りがコーヒーのアロマのように深みが増したのには驚き。トーストすると香ばしさが増すそうですが、これ以上美味しく変化していくと私の未熟な表現では伝えられそうにないですね、きっと。

“はなまんてんのイングリッシュマフィン”。この厚みに惹かれて購入。通常のマフィンは3cmですがこちらは5cm!フォークで横半分のラインをツクツク刺し上下に割ります。それをトースターで断面部分がカリッと色づく程度に焼いてバターをたっぷり塗り、染み込んだところをがぶりと食べると熟したバナナのような小麦の甘い香り。この厚みだからこそのふんわり食感が味わえます。お好きな具材を挟んでお召し上がりくださいと説明に書いてありますが、挟むならふわとろに仕上げたスクランブルエッグでふわふわの相乗効果を楽しみたいですね。

季節柄、シュトーレンも販売されてました♪

パンを楽しむ相棒の食器類はスタジオMさんのものを以前は扱っていましたが、今は陶芸作家さんのものを扱うようにシフトしているそうです。他にもワンちゃんの洋服や季節に合わせたアクセサリーなど雑貨類も販売されています。

川越市「野々山養蜂園」さんの純国産・純天然蜂蜜も販売されていました。一度国産の蜂蜜を食べてしまうと喉を通るときの優しい繊細な味わいに魅了され海外産に手が伸びなくなります。今回は荷物が多くて購入断念しましたが、次回試してみたい蜂蜜です。

ハナマンテンを愛し、その可能性を広げ、美味しさを伝えるために日々研究を重ねている若松大輔シェフ。埼玉出身のご夫婦とご家族で、埼玉で栽培された小麦を使い、埼玉にお店を開く生粋の埼玉県民でもあります。都内からも池袋駅から電車で30分強で行くことができますので、他では味わうことのできないこの香ばしい香りのハナマンテンのパンの素晴らしさに触れていただきたいです。
※当日お店でお写真撮るのを忘れてしまったので横浜そごうで撮影させていただいたシェフのお写真を使用してます。催事続きのお忙しいときに快くお話しを聞かせてくださり本当にありがとうございました。


パン屋さんのご紹介

おすすめパン

はなまんてん100フランスパン (大)300円、(小)240円(税抜)
はなまんてんのイングリッシュマフィン 158円(税抜)
リュスティックサンド(バターと2種のチョコ)180円(税抜)

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この記事を書いた人

岩田聡子

岩田聡子 さん

パン屋さんめぐりは人と人を繋ぐ。転勤族&専業主婦の私でも気づけばパンを通じて友達の輪が!!旅行好きな主人と地方のパン屋もめぐってます。